いままでの記憶

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視えなくてもそばにいる――『Occultic;Nine』アニメ,コミカライズの感想【ネタバレ注意】

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世界はインチキで溢れてる!

 

多数のメディア展開がなされ、ゲームとノベルに関しては展開が止まりながらもそのどれもがストーリー展開が異なるという斬新さを持ち、最初は違ったらしいけどいつの間にか科学ADVシリーズの一作になっていた『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』

リアタイで1話と2話を見てから放置していたのですが、このたびようやくアニメを一気見し、またコミカライズも読んだので簡単に感想でも。完全にアイマスブログになってたのでたまには他のメインジャンルの記事も書きたかったですし。

科学ADVシリーズファンなので、他と並べた時のシリーズの一つとしての観点からの感想多め。

ちなみに結論だけ言うと展開止まってるのが勿体ない名作って感じです。

とりあえずアニメ見て、気に入ったら漫画を読めば損はしない……はず。めちゃくちゃ楽しかった!

 

※アニメについてガッツリネタバレあり、コミカライズについては少し触れるだけです。

 

 

 

 

 

アニメ版

良かった点

スタイリッシュでオシャレな全体の雰囲気

まず良かったところは?と聞かれて出てくるのはとにかく全体の雰囲気が最高に良いアニメというところ。

それが特に溢れているのがOPでしたね。科学ADVの魅力の一つとしてゲーム・アニメ問わず志倉千代丸サウンドによる独特の雰囲気を持ったOP曲とそれに合わせた映像というのがあると思ってるんですが、オカルティックナインは最近の作品ということもありその中でもトップクラスの出来だったなと思います。

OPは有名な石浜真史さんが手掛けているだけあって、物凄いクオリティ。色使いやテロップの出し方がセンスしかないし、少し暗めの曲とオカルトネタ満載でとにかくカット割りが激しい映像は疾走感に溢れた本編に合うこと間違いなし。このアニメの最大の魅力は何?と聞かれたらOPと答えたくなるぐらいには好きです。

本編とリンクしてる仕掛けもたくさんありますし。調べれば考察が山程出てきますが一つわかりやすいところだとAメロの「希望なんて~」で移動するテロップがりょーたすと西園梨々花さんとあすな以外は前を通って、あすなだけ目が書いてある部分は気づいた時凄いな~!!となりました。というか実体ある他二人と同列って結局西園梨々花さんって結局何者なんですか?

そんな圧倒的名作オーラを放っているOPのインパクトに劣らないほどこれまたスタイリッシュなED。りょーたす&アヴェリーヌとガモタンの主ヒロ要素満載の映像も素晴らしいですし、サビ終わりに合わせて音ハメ次回予告やって、数字カウントダウンと共に次回タイトル出てくる演出天才すぎませんか?毎回鳥肌止まりませんでした。OPED飛ばせないアニメにも程がある。

他にもキャラデザpakoさんのイラストの独特の味を忠実に再現しつつしっかり動く作画。豪華声優陣の実力による早口でありながらもしっかり会話の内容が頭に入ってくる台詞回し。

もう何もかもスタイリッシュでオシャレ。見ていて飽きないし楽しかったです!アニメスタッフさんに感謝。

謎が謎を呼ぶストーリー、魅力的なキャラクター達

科学ADVらしく、日常の中で起こる非日常の点が繋がって線となり大いなる野望に繋がるシナリオは健在。今回も色々と驚かされる要素が多かったですね。

特に衝撃的だったのはやっぱりみんな死んでるってわかるところでしょうか。予想はできるにしても演出が上手くて興奮しました。後半のりょーたす関連の謎の回収も序盤からの疑問が色々解けて気持ち良かったですね。

……とはいっても全ての謎を回収していないのはいいにしても、回収しなさすぎは問題だと思うんですが。この点については後で。

 

キャラクターに関してもやはりこのシリーズ、魅力的な人間しかいない。1クールでここまでの人数をしっかりキャラ立ちさせてるのは流石。

今作は吉祥寺に生きる9+1人の若者達の物語!となってるだけあって、いままでの科学ADVと違い群像劇なのがまた新鮮で楽しかったですね。作品を見る時にキャラクター同士の関係性を重視する人間なので、ガモタン&りょーたす、森塚&あすな、日下部&亞里亞サライ&桐子さん、みゅうポム&ちいちゃんみたいにキャラがコンビとして描かれている感じが強かったのも良かったです。西園梨々花ほんと何者なんだ……

 

 

というわけで次は惜しかった点を……

惜しかった点

尺が足りない

まずこれですね。1クールは短い!おかげで12話だけじゃ描ききれなかった感じが。

1クールだからこそ1話の密度が凄くてテンポが良かったのは素晴らしい点ではあるんですけど、12話はいくらなんでも駆け足すぎました。ガモタンだけ生き返れないなんて悲しすぎる!!ってなるシーン、尺のなさを感じてしまって集中できなかったのが惜しかったです。ゲームだったら泣けるのかな。

理想としては14~15話ぐらいの尺が良かったのかなとは思うのですが……そんな細かい調整ができないのがTVアニメという媒体なので難しいですね。とりあえず1クールなら13話にしてあと1話は欲しかったです。

分からない謎の多さ、曖昧すぎる結末

いや、いくらなんでも分からないことが多すぎるだろ。

何度も言ってるけど西園梨々花ってほんとに何者?あすながガモタンの記憶見れなくて、でもアストラル体だけは見えてるその特別の理由は何、スカイセンサー絡み?森塚がサライに電話に出るな!って言ってたのはアストラル体だから?橋上教授のところに偶然来てたのは委員会に教えてもらったから?細かいとこだけどりょーたすは出会いの時滑り台の上に急に現れた!ってやつ何?

他の科学ADVでもある程度ボカされてる謎はあるので考えるのは楽しいんですけど、今作はいくらなんでも多すぎてちょっと気になりますね。西園梨々花とかヒントなさすぎて何も分かりません。

結末についても曖昧すぎて!曖昧になるのは唯一の五感だけでいいよ、ガモタンのコールドスリープって何?結局どうなったんですか?ちゃんと教えて下さい。物語において終わり方が大事なのはシュタゲとカオチャの2作が特に評価高い科学ADVさんならわかってると思うんですけど!!

 

メディアミックスごとによって展開変えるからそっちで分からない謎や今回の結末については考えてね!っていうことにしても……どうやら肝心のゲームがアニメとあまり展開も情報量も変わらないらしく……

実はゲーム版自体は発売日に限定版買ったんですが、序盤だけやったところで評判と追加パッチの件を聞いて放置してるんですよね。アニメ見ればOKと色んな方が言ってるので……

このツイートから2年半経っても情報ないの何なんですか。もったいなさすぎるでしょ。こんなに面白いのに……なんで……

追加パッチ、待ってまーす。名作を腐らせないでください、1万円楽しませてくださいね。

 

 

 

とまあ、色々とアニメ版の不満点を書いたのですが、作品の尺や展開に文句があるのであって物語自体のクオリティには言うことがないです。

そして"しっかり完結している"メディアミックスがあるらしく、本編見終わってすぐ購入しました。それがこちら。

コミカライズ

小説版が3巻で止まっていることもあり、このコミカライズ……現在オカルティック・ナインの物語がしっかり完結しているのが見れる唯一のメディアミックスではないでしょうか。

展開や設定に関してはアニメ版と差異があるものも、これまた違うオカルティックナインが味わえるということで楽しく見れました。

サライがかっこいいし、あすなは森塚大好きすぎる乙女な一面が見れて可愛いし、兄妹は違った関係性に進展するし、森塚や日下部の過去が少し分かるし、何より心に残る結末はアニメ版に不満がある方におすすめできるものだと思います。ここでは深く掘り下げませんが是非。全4巻でサクッと読めます!

 

 

 

次は毎回恒例キャラ語りです。

キャラクター

和泉公平

科学ADVおなじみ、悪い大人枠!

みんなアストラル体だ!ってわかった時点でもうイズミンが黒幕サイド側の人間だっていう察しはつきましたが案の定でしたね。

サライの父親殺しまでは予想できたもののまさかガモタンの父親殺しまでやっているとは思いませんでしたが。想像以上に悪人だった。

個人的に好きだなーって思うところは所謂オカマ口調が正体明かしてからも崩れなかったところ。こういうキャラって豹変すると口調崩れがちなので。キャラ作りじゃないタイプだ!!と感動していました。どういう気持ちでガモタンと接していたのか、なども知りたいしもうちょっと掘り下げてほしいですね。

鬼崎あすな

OPに出てくるこの人いつ出てくるんだよ!と思ってたら中盤からは半分主役みたいな感じでしたね。

りょーたすというイレギュラーを除けば唯一ガモタンと話すことができる味方で、アストラル体と生者を繋ぐ存在として大活躍。

女子高生FBIサイコメトラーという肩書もあり一見クールで優秀!といったタイプに見えて、惚れちゃった森塚を一途に想い続けるギャップが可愛い子でした。アニメ見てあすなを気に入った人はぜひコミカライズを3巻だけでも読んでほしい。

森塚駿

26歳オタク童顔刑事!濃い!序盤は胡散臭いし冷たい人間なのかと思ったけど実際はそうでもなかった。

コミカライズで正体がある程度はわかったものの電話をしている相手は結局例の組織なのか。他科学ADVシリーズの関連ワードを出すのはアノニマスコードの世界層絡みなのか。謎が多い人物。でもあすなのことを大切に想っているのは本当らしい。

個人的に関係性だと一番好きなのは森あすなので、アニメエンド後の森塚とあすなのイチャイチャを見るだけのお話公式でください。見た目と身長あまり変わらないのに8歳差あるってところ、いいよね。

日下部吉柳&紅ノ亞里亞

この二人に関してはガモタンとの関わりも少なくお話からわりと独立してる感じがするのでセットで括るしかないかなと……

悲惨な過去を持つ亞里亞の自殺を日下部が食い止めたことで始まった奇妙な協力関係、いいですよね。こういうの好き。

特に印象的だったのが12話でみんな生き返り選んでるのに亞里亞だけは関係なく日下部と一緒に行動してたところ。二人ずっと一緒で幸せそうだからこれでいいと思います。

アニメのちょっと変わった形の”兄妹”も、コミカライズの相思相愛っぷりも、どっちも良い。この二人ももっともっと絡みが見ていたい。

西園梨々花

いや、貴方なんなん………

現時点だとキャラが分からなすぎて語りにくいですね。自分はCVの能登麻美子さんのファンなので注目してたのですがよくわからないまま終わってしまった。

アノニマスコードの西園寺珠乃との関係性がありそうなので早く明かしてほしいです。発売日いつやねん。

相川実優羽

作中でもかなり悲惨な境遇の人物じゃないでしょうか。

心の拠り所であったちいちゃんは作中でグロテスクなことにされるし、コミカライズでわかるけど父親ともアレコレあったみたいだし。

親友の死と向き合って、敵討ちのために現実に立ち向かっていく様が格好良くてスキ。

澄風桐子

オカルト雑誌の記者って肩書だけ見たら変人なのかと思ったらちゃんとした大人で、オカルト信じていながら常識人に近い立場でした。

アセンション!っていう口癖、どういう意味なのか結局よくわかってないんですけど。どういうこと?

こういうサバサバした人好みなので、もっと彼女個人について掘り下げてほしいなと思うのですが。ゲームで語られてたりするのかな……

橋上サライ

個人的作中サイカワ人物。ロボノの昴もめっちゃ可愛い……となっていたしツンツンした眼鏡知的キャラに弱いのかもしれない。

12話のガモタンが生き返らない!ってわかった時にようやく素直になったのが印象的でしたね。ほんと可愛いなお前。

素直になれない彼にとってはズバズバ切り込んでいく行動力がある桐子とは相性がいいだろうし、本編後も仲良くしてるんだろうな~~~ねえこの作品なんで13話がないの?

成沢稜歌

放送当時はそのお胸の大きさばかり話題になっていた不思議系メインヒロインちゃん。

ずっとぽやぽや~~~って感じだったけど、ゾン子の声はぶっちゃけどう聞いてもCVあやねるだし、一体何を隠しているんだ……!?と終盤までハラハラさせられましたが、そこは科学ADV。確固たる信念を持った女の子でした。

ガモタンには特殊な存在だから近づき、死ぬことを分かっていながら止めなかった……ある意味利用したとも言える関係ながらも、いつの間にか彼に対して本当の情が芽生えてしまっていたという。ここすごい科学ADVっぽい。

本編ではほとんど憑依しているアヴェリーヌとしてのムーブだったので実質Wメインヒロインというのもまた新しい。りょーたすもアヴェリーヌもガモタンのこと好きで良かったね。

我聞悠太

みんなが大切な人を奪われていく中、自分にはまだ大切な人であるりょーたすが残っていることに気づき、彼女を守るために戦ったヒーロー。

序盤から中盤まではずっとウジウジしているなあ、となってましたが。終盤は流石主人公。格好良い活躍を見せてくれました。

科学ADVのシリーズの共通点として「メインヒロインへの愛を貫く主人公」があってそこが好きなポイントなんですけど、彼もまさしくその主人公達4人に並ぶ5人目の主人公だったと思います。自分の存在が本当になくなってもりょーたすのために行動するってまさしく愛だよ。

そんな彼の言い放った「僕をヒーローにさせてよ!」は好きなセリフ。科学ADVは主人公が大義名分のために世界を救うヒーローを否定し、自分の大切なものを守るために戦うエゴのお話でそれが結果的にはプレイヤー達にはヒーローに映る……というのが共通していることが自分の見解なのですが。ガモタンはヒーローになりたかったんだなあ、大好きなお父さんと違って誰かが覚えていることなく消えてしまうのが怖かったんだなあ。

それはみんなから崇められる英雄になりたいのではなく、誰かに覚えていてほしいと願うただの17歳の少年としての叫びだったんじゃないかな、と。

 

 

ちなみに科学ADVシリーズで一番好きなのは4作とも主人公が好きなんですが、今作で誰が一番好き?と聞かれたら結構悩みます。りょーたすを想うガモタンは好きなんだけど森あすの関係性良いし……兄妹も好き……サライ可愛いな……と迷う。

というわけで今回は箱推し、かな。ゲーム版やれば変わるかもです。

 さいごに

最後にちょっとした全体的な感想を書いて〆に。

 

この作品のテーマというと、言葉にすると安っぽくなってしまうかもしれないけどやはり「死」でしょうか。人間という存在は死んだら終わりじゃなく、誰かが覚えていればこの世界に存在しているもの。それを99%の科学と1%のファンタジーを用いてアストラル体や周波数などの設定を元に描いたのがこの作品だったのかなと。大切な人がいなくなっても、きっと周波数が違うだけでいつもそこにいてくれている……最後のガモタンとお父さんのシーンは特にそれが表れていましたね。

そんな本作だからこそ人と人の繋がりの描写が濃いのが活きてきます。友達、兄妹、父と子、同級生、同僚などなど……特に家族愛の描写は多かったですね。ガモタン、りょーたす、サライ、(コミカライズ情報ですが)みゅうポムは父親とアレコレありますし。

幽霊というと、よくある怪談話のように悪くて怖い存在のように良くないモノとして描かれることが多いイメージがあるのですが、本作は逆に肯定的に描いてたのが印象的でしたね。

オカルト要素盛り込みまくったホラー風味な作品ですが、根本にあるのは暖かいものだったなと思います。優しいお話。

 

というわけでオカルティックナイン、本当に素晴らしい物語でした!やっぱりこのシリーズの作品は最高。

そして同時に本当に勿体ない!このままゲーム一生出なかったらゾンビになりそう。

オカルティックナインの真の終わり、そしてシリーズの全てを繋げるであろう存在アノニマスコード。科学ADVはまだ終わっていない。いつになるかわからないけど一ファンとして応援しています。

 

 

次の科学ADV記事はロボノDaSHをいい加減プレイしたら、ロボノ本編の感想と一緒に書きます。いつになるかわからないですけど。

ロボノ自体はもうクリアしたのが一年半前でうろ覚えなので今アニメを見て復習しているので、それが終わってからになりますが……科学ADVの感想目当てで本ブログを見てくださっている方には申し訳ないのですがお待ち下さい。

2020年以内にはプレイしたいところです、まさに今起こっている物語ですし。