いままでの記憶

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映画『CHAOS;CHILD SILENT SKY』感想【ネタバレ注意】

アニメ『CHAOS;CHILD』の後日談であり、原作ゲームのTRUEルートを描いた映画『CHAOS;CHILD SILENT SKY』。

今日行われた舞台挨拶付き上映に行ってきたので、視聴した感想です。

 

 

映画の内容だけでなく原作の内容を含めた感想ですので、未プレイの方はご注意を…。というか原作との相違点の話ばかりですね…

 

一言だけ言えるのは、原作のあの美しい終わり方が好きな人はとりあえず見に行った方がいいと思います!

動きが付くとまた違うなぁ、と感じられました。劇場で見れるのは今月末までですのでお早めに。

 

 

ネタバレ注意!!!

 

 

 

 

 

 

 

まず初めに。

3時間に及ぶ原作トゥルーを50分という短い時間でしっかり描くべきことを描いてくれたことに感謝。

トゥルーの一番のポイントは「本編後の宮代拓留と尾上世莉架がどのような道を歩んでいくのか」というところだと思っているので、この二人の描写に徹底的に尺を割いたのは正解だったと思います。

この作品の最大の魅力は人間ドラマだと思っているので、カオスチャイルド症候群という大ネタを原作よりもあっさり明かして尺を割かなかったのは良かったな、と。

アニメでは原作と違い、乃々だけじゃなく他のキャラの症候群の姿もドアップで映されていたので、初見の人に与えた衝撃はゲームと大差ないかもしれませんが。

 

 

とりあえず良かった点と不満点を並べていきます。〆のことも考えて先に不満点から。

 

不満点

・作画

一番はこれ。前半はそうでもなかったんですが後半は製作期間と予算の足りなさを感じました。予算出してくれやほんと…スタッフは悪くない…

回想シーンや止め絵でかなり作画リソース節約されていたにも関わらず動くべきところで動かないのは悲しい。ほぼ紙芝居状態。顔ドアップカット率やばい。

和久井先生がたった一つのカットで長台詞言ってるのは「もっとそのかっこいいディソード見せてくれ…!」って思わざるを得なかった。

あと気になったのが拓留が病院から出ていく直前のシーン。画面に映っているのは背景だったのに会話が展開されてましたし…

ラストシーンだけはちゃんと動いてくれたので一安心でしたが…

 

BD購入予定なので修正を期待しています。

・久野里澪の台詞ほぼカット

原作トゥルーは実質久野里ルートでは、と思えるぐらい彼女が輝いていたルートでしたね。LCCでもトゥルーで大活躍だったので「トゥルーの女」って勝手に呼んでます

でもアニメでは尺の関係で無慈悲なカットの連続。描くべき拓留と世莉架のシーンをしっかりやってくれたので仕方ないとは言えやはり悲しい。

和久井と対面した時全然喋らず蚊帳の外で「おい!!!!!そこの座ってる久野里さん喋って!!!!!」って叫びたくなってしまった。

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この台詞初見プレイで興奮してスクショ撮っちゃったぐらいにはほんと好きなので劇場で聞きたかったです…

 

あとラストの「私もお前を観測し続けよう」のやり取りも大好きだったけどありませんでしたね。Chrisと同じ台詞を知らずとも喋ってるんですよ久野里さん!大事でしょ!

「インターネットにアクセス出来なくなる」関連のやり取りもカオチャらしくて好きだったし。もったいねぇ!

 

原作やり直して補完するしかない。あっちは種田ボイスですが。真田ボイスでも聞きたかった。

・世莉架が舞台を見るシーンの尺が短いしちょっと違う

原作ではスタッフロール前のシーンですね。ここは色々原作と変わっていました。

世莉架がゲームではたしか幕が上がった後に泣いていましたが、今回はその前だったような?

「舞台の上に永遠に居続ける拓留」と「観客席でそれを見つめることしか出来ない世莉架」の対比が美しいシーンだと解釈していたのでもうちょっとじっくりやってほしかったかな。

この後にsilent wind bellが流れ始めたのは良かったですね。尺の都合上ヒロインズたちのその後のシーンのBGMとして流したのも英断だったな、と。歌詞に集中出来ないのはちょっと勿体無い使い方ですけどね。あとこれは映画は悪くないけども、アニメで文化祭準備バッサリ切ったせいで「今なら書けるよ 願い込めて 揺れる風鈴に」の意味がわからないのは流石に難点すぎる…

・スタッフロールで流れるBGM

こればかりは「好みの問題だろ」としか言いようがない点なんですが一応…

スタッフロールのBGMはおそらくアニメオリジナルBGM(すいませんまだアニメ版サントラ買ってないので曲名が分かりません…)でしたが、個人的には原作トゥルーEND後に流れるタイトルBGM「SILENT WORLD」が良かったです。

www.youtube.com

クリア当時はタイトル画面から動けずこの曲を聞きながら余韻に浸っていたので、アニメでも流れるのを楽しみにしてたんですが…流れず。

一番好きなBGMでもあるので劇場で聞きたかったなぁ…

あと原作と同じくスタッフロールで最初に流れるキャストはキャラクター達かと思ったらそんなことはなかった。彼らはまさしく「CHAOS;CHILD」という舞台の登場人物だった、という演出で好きだったけども世莉架の舞台のシーンの後に流れたからこそ価値ある演出だったから仕方ないか。

 

良かった点

・作画は動かなかっただけで崩れてはいなかった。表情の描写はしっかりしていた

「動け!動けよ!」って思うシーンはありましたが、流石に目立って崩れてるシーンはなかったですね。一安心。

トゥルーでとても大事な拓留の「表情」もしっかりしていましたね。ゲームでは数パターンの立ち絵と地の文だけでしたが、アニメでは1シーン1シーンこまかく変化していて彼の想いが伝わりやすい内容になっていたと思います。

病室で世莉架と拓留が再会し、部外者の彼女が冷たい言葉を投げかけるシーンの彼の表情は期待していた部分なのでしっかり描いてくれていて安心しました。

・病室のシーンの相違点

 

細かいところですが、昏睡状態になっていた人間の病室にヒロインズだけでなく、結人と伊藤もいたのが良かったですね。拓留に近い人物達が妄想シンクロから解放されかけて昏睡状態になったという話だったのに、親友/家族である彼らがいないのはちょっと疑問だったので。

・声優陣の演技

人間ドラマであるカオチャの最大の魅力の一つ。

ゲームと変わらず素晴らしかったです。松岡禎丞上坂すみれ劇場だよこれ。

最後の地の文(「――僕たちはこうして、一緒に生きていくんだ」)に声がついただけでこの劇場版をやった価値はあったと思います。尺の都合上間の取り方が微妙だったのが惜しいですが仕方ない。

 

舞台挨拶での松岡くんが本当に本当に拓留のことを大切に想って彼を演じていたことが伝わったトークからの、本編上映はあまりにも涙腺ブレイカーすぎる。

体調不良で残念ながら欠席された上坂すみれさんも、「いつかカオチャについて語りたい」とメッセージを残していたのでイベント待ってます。

 

キャラクターに命を吹き込んでくださった声優さん達には本当に感謝しかない…ありがとうございました…

 

・大事なポイントをしっかり抑えていた

最初にも言いましたが、拓留と世莉架関連の描写をほぼ拾っていたのは本当に良かったです。

病室の「このクズ!」のシーンの台詞はほぼノーカットでしたし、脳波を取るシーンは短くも要点を押さえていました。

和久井と拓留のやりとりのシーンも、久野里さんは犠牲になりましたが原作で印象的だった部分がしっかり拾われていましたね。「男が……好きな子にすがりついて生きていくなんて、出来るわけないだろ」は個人的カオチャ名台詞ベスト5に間違いなく入るぐらいには好きなのでちゃんと拾われてて安心。這いつくばりながら言うのも良かったですね。作画節約のせいで分かりにくかったけど。

 

・ラストシーンの描写

最後はこれですね。自分がカオスチャイルドで一番好きなシーンです。

カオスチャイルドは極論このシーンを描くための物語であり、そこまでの過程がどうであれここをしっかり描いてくれるかどうかが最重要事項、と考えてました。

 

結果としては満足でした。

 

アニメならではの良演出だなぁ~!と感じたところは、

本編OPでの「それでいいんだ 次のバスに乗るよ」で拓留が周りのみんなと違う道を一人歩んでいく下のカットがありますが、

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ラストの「――僕たちはこうして、一緒に生きていくんだ」でも服装は違えど同じカットが出てきたこと。ここはアニメ化して良かったなぁ…って思えました。

背景白くなって二人きりで見つめ合っているところに葵が入ってくるのも良かったなぁ…彼女がいてこそこのシーンの対比は活きる。

 

 

ラストシーンの美しさ、切なさはアニメでも充分に表現されていたと思います。スタッフと声優陣に感謝…

 

 

さいごに

改めてトゥルールートに触れたので、簡単に全体の感想を。

 

 

 

SILENT SKYは、拓留と世莉架の物語です。

彼の決断がどう世界を変え、彼らに影響を及ぼしたか、がポイントだったと思います。

 

「親友を普通の女の子にし、自分を世間での真犯人にする」拓留の決断により、起きてしまった悲しい出来事もたくさんあります。

例えば(そこまでネタバレじゃないのでここで触れますが)後日談であるChildren's Reviveでは、凶悪犯罪者である宮代拓留が感染していたのがカオスチャイルド症候群ということにより、症候群者は差別され、偏見にさらされるようになってしまいました。

特に彼の青葉寮での家族である南沢泉理と橘結人と山添うきを見つめる世間の目は、おそらく一生悪意を持つままになってしまうのでしょう。

 

では拓留の決断は、間違っていたのでしょうか。

 

 

昔の拓留は、正しいと信じていたネットの情報を頼りに、情報強者を自称し行動していました。

その後彼は、物語を通して様々な真実を突きつけられ、ヒカリオでの決戦の最後に「自分は情弱だった」と気づきます。

何が本当に正しいかなんて、ネットで調べようが、いくら情報を集めようが、分からないことを知ります。

 

そして拓留は、”本当にやりたいこと”を見つけたのです。

 

真実を知らない"部外者"の”情弱”達に何を言われようとも。

周りの人間が悲しもうとも。

自分が生み出した"尾上世莉架"は、普通の女の子になることを望んでいなくとも。

彼は自分が見つけた”正義”を貫き、選択をしました。

 

拓留の決断が本当に正しかったのかなんて、誰にも分かりません。

ただ、彼は選び、”満足”して、何もかも全部これで良かった、正しかったと認めているのです。

事情を知っている彼の周りの人間…当事者達は、「彼の決断は正しい」と思えるのでしょう。彼を責めることなんてするはずがないし、出来るわけがない。

 

 

情報強者を自称し、文化祭の願いを込める風鈴を「くだらないもの」と一蹴していた拓留。

そんな彼が、今では心の底から大切な人の幸せを願うことが出来るようになりました。

世莉架もまた、”彼の本当にやりたいこと”が自分の幸せであると知っているから、「知らない人」であることを認めます。

 

光の射す方へ向かいつつ、「知らない人」である拓留を見つめる世莉架。

遠ざかっていく彼女を振り返らず、ただ闇へ進んでいく拓留。

 

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そうして彼らは互いの気持ちを尊重し合い、決して交わらない道を歩んでいく。

 

 

二度と会うことはなく、
決して重ならない道を歩んでいく。

――僕たちはこうして、一緒に生きていくんだ

 

 

CHAOS;CHILD SILENT SKY』。

この作品に感じることは、情報は受け取る側の人間によって解釈が変わるように、触れた人によって違うものになりますが、

自分の解釈で一言で表すなら、人の想いの美しさを描いた物語だった、と思います。

 

 

 

 

 

 

 

では当ブログ恒例、感想記事終盤の自分語りします。

 

カオスチャイルドという作品は自分は3月にプレイを始め、ちょうど3ヶ月前…3/25にクリアしました。

 

そこからの3ヶ月間は本当にこの作品が中心となる生活でした。

Twitterでネタバレ垢をわざわざ作って語って。ノベライズを読み。コミカライズを読み。資料集を漁り。アニメをプライムで一気見し。渋谷で聖地巡礼して。カオチャ展に行って。チヨスタライブにも参戦して。

前作のカオスヘッドをクリアしてそちらにも同じぐらい現在進行中でハマってます。というかカオヘとカオチャ両方のネタバレを含んでガッツリ語る記事7月中には書きます…お待ちを…

 

 

一応、カオヘのネタバレ最小限に留めて、これだけは言っておきたい。

 

情報が溢れ、何が正しいのか分からないインターネット中心の世界において、大切な女の子のために、拓留が自らの正義を貫く様は、まさに西條拓巳…彼が憧れた『CHAOS;HEAD』の主人公と同じだったな、と思います。

 

カオヘの続編としても、文句なしの物語でした。

 

さて、カオスな3ヶ月でしたが、これからもこの作品を末永く愛していきたいですね。そしてもっと多くの人に知ってほしい、この美しい物語を。もう10人を越える人に勧めてきましたが、今のところ満足度100%で嬉しいですね…もっと宣伝しなきゃ…

 

チヨスタブランドはこれからも展開ありますし楽しみにしてます。早くロボノやってADVシリーズコンプしなきゃ…9月からのオカルティック・ナインもちゃんとプレイしなきゃ…

 

 

最後に改めて。

CHAOS;CHILD、本当に素晴らしい作品でした。

インターネットが普及した今だからこそ生まれたこの作品に出会えて良かったです。

本当に、ありがとうございました。

 

ついでに1プレイヤーである自分のエゴをぶつける。

ヒロイン達や伊藤や結人、どうか幸せに生きてください。

拓留、納得し満足してるから君の中では最大限のハッピーエンドだと思うので、「幸せになれ」とか「強く生きろ」とは心の中で思ってても言葉はかけられない。

ただ、これだけは言える。君に出会えて良かった。ありがとう。

 

 

 

…え?前回のカオヘ感想で予告した「CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!」感想はまだかって?

まだこずぴぃルートしかクリアしてません許してください…暇が多そうな今週中には終わらせます…西條拓巳はやっぱり最高の主人公や…