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月と地球を繋ぐ奇跡『LUNARiA -Virtualized Moonchild-』感想【ネタバレ注意】

LUNARiA -Virtualized Moonchild-】発売日や予約特典などのゲーム最新情報 | AppMedia

キミと駆ける。奇跡だけを信じて―― 

 

2020年のクリスマスイヴに発売されたKey最新作『LUNARiA -Virtualized Moonchild-』

3週間ほど前にクリアしたので、そちらの感想記事です。年明け一発目の記事!ちなみに去年の振り返りや今年やりたいことについての記事を書くつもりでしたが書けるか怪しいです。というかもう1月終わるじゃん。怠惰。

Key発売ゲームの中でもキネティックノベル(簡単に言うと選択肢なしの短編ノベルゲーム)という分類で、DL版なら値段が1980円と安めですし、プレイ時間がボイスじっくり聞いても7時間程度で済む手軽さなのでオススメです。

www.dlsite.com


ルナリアもキネティックノベル前作のLOOPERSもめちゃくちゃ面白かったですし、Keyをまだやったことない人でも古くからのファンでも楽しめる出来だと思います。2020年以降のKeyのゲーム作品、全部面白い……嬉しい……これだけで人生楽しい……

あ、前に言ってたサマポケRBとLOOPERSの感想記事の完成はだいぶかかりそうです。特にサマポケに関しては好きすぎるしKeyへの感情が爆発しすぎてなかなか書けない……LOOPERSは再プレイしてから書こうかな。

 

というわけで前置き長くなりましたが感想です。他Key作品の話(特にLOOPERS)もネタバレなしの範囲でしつつシナリオやキャラについて書いていきます。

ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

シナリオ

一言で言うと、序盤から終盤まで短編として全く無駄がなくまとまっていた非常に完成度の高いストーリーでした。

序盤の主人公とヒロインの出会いからの結成エピソード、中盤の様々な出来事を通して2人の関係が深まっていく様子、そして終盤のこれまで積み重ねた描写を活かす怒涛の畳み掛け。構成として完璧だし、8時間ほどのプレイ時間でありながらも満足度を得られる名作だったと思います。

 

序盤(~Ch3,OP2が流れるまで)は丁寧に世界観の説明をやりつつ、るなきゅんの可愛さをとにかく描いていて後半の展開に向けてしっかりヒロインに愛着を持てるような流れになっていて良かったですね。

一匹狼のビットのキャラクター性も序盤でほぼ分かるようになっていて好印象。キネティックノベルって選択肢がないから主人公が完全に独立した1キャラクターとして描かれている感触が普段のノベルゲーよりもさらに強いし、しかも全員フルボイスなので、魅力的かどうかってすっごい大事だと思うんですよね。ビットは序盤から彼なりの信念が描かれていて後半への期待が高まります。

 

最初印象的だったのは、とにかく立ち絵が動くことでしょうか。

サマポケやLOOPERSはここまで動きがなかったはずなので新鮮。大長編となるとよっぽど開発期間が長くない限りこういった細かい要素に力を入れるのは難しいと思うので、短編だからこそできる要素ですね。ふむゆんさんの絵柄が好きなのもあり嬉しかった……

 

中盤(~Ch6,現実世界のデートまで)はギャルゲー全開!!って感じですね。Keyで家族愛や友情といった恋愛以外の要素が強いパターンがなんだかんだ多いので、ここまで恋愛色強い物語も珍しい。ラブストーリーという側面を全面に推した宣伝やってたのも納得。主人公ヒロインのイチャイチャをたっぷり楽しませていただきました。ルナーワールド内だと規制でキスできないから鼻でするしかなかったり、アンドロイドと人間だからこそできるキスだったり、キスシーンの見せ方ほんとよかったな……大事ですからね。

るなきゅん消えないで!!ハッピーエンドにして!!ということを願いながら終盤戦に突入。

 

終盤は本当に畳み掛けがすごかったですね。これまでの描写全てに意味を持たせつつ各キャラの見せ場をきっちり用意して、Keyらしくしっかり泣き要素も入れて、最後は「

キミと駆ける。奇跡だけを信じて――」のキャッチコピーに相応しい終わり方。もうひたすら興奮して最後まで駆け抜けられました。

 

一番驚いたのはるなきゅんがまさかのAIじゃなくて人間なことですね。完全に人間とAIのラブストーリーをやる気なんだろうな~って思い込んでいたので思いっきり騙されました、ビットがAIだと思いこんでただけではあったけども。でも、あまりに色んなことを知らないし、レース中の演算能力もあるし、自分が消えることに関して悲しさを感じてない様子だったし……AI人外ムーブがあまりに多かったので、綺麗にミスリードされました。

人間とAIの恋愛楽しみ!!!!!ってテンションでプレイ開始したので結構面食らったけども、公式サイトの宣伝には「月と地球。384400kmを繋ぐラブストーリー。」としか書いてないし、人間とAIのラブストーリーが主題です!!とは書いてなかったから納得できました。クリアしたら結局この関係性のこと大好きになれたから不満は一切ないし、るなきゅんは人間に憧れるAI、というよりは地球に憧れるキャラという描き方が一貫してたからミスリードされただけで設定的には何も違和感ないですし。だいたいAIと人間だとこの距離の差がある、という概念の強度がそこまでになってしまうしな……でもやっぱり人間とAIの物語も大好きだし見てみたいので、キネティックノベル次回作の終のステラに期待します。こっちは恋愛じゃなくて疑似親子らしいけども。そのうちKeyでガッツリ人間AI恋愛やってほしい……

この希優の正体が明かされる希優の語り、基本的に落ち着いた語り口でありながらもどんどんいつか来る別れへと向かっていくあの感触がより感情移入できてとてもよかったですね。松井恵理子さんの演技力に脱帽。

 

その正体発覚後の希優救出作戦のためにビットのゲームセンスを活かすの、最高に燃えました。これまでQ-BITのレースシーンを描いてきたのはここのためでしょうし。ゲーマー主人公がこれまでゲームに積み重ねてきたものをただ自分の大切なヒロインのために活かすボーイミーツガール展開、大興奮。ミャウがとにかく環境の提供のためにいいサポート役をこなしてくれたし、ガヤもやってることは大犯罪なのにひたすら親友の実力を信じてサポートに尽くしてくれるし、ひたすら燃える展開だったなぁ……LOOPERSもかなり少年漫画的な熱い展開があって個人的にそういうの好きだったので嬉しかったんですけど、LUNARiAはそれ以上にアツい話をやってくれて良かったです。るなきゅんの恋人と友達の3人で救い出す展開なのが綺麗。

脱出ポットのシーンはKeyらしさ全開ですね。思わず泣きそうになりました。作戦がうまくいった時点で勝ちを確信……していたわけではなく、Keyなのに「泣き」ポイントがこないな!?と思ってたのでここで何かしら不都合なイベントが起きるのは予想してたものの……卑怯でしょ、こんな流れ。出会った奇跡に感謝をしながらも「どうせ失われる希望ならもう持ちたくない」、諦観持つ希優のヒロイン性全開の台詞がずるい。

ここでスタッフロール流れて終わりになると思ってたのでふざけるなよKey!!良い作品だったけどこういうビターエンドやめてよ!!ってキレる準備をしていましたがエピローグがあって安心しました。

 

エピローグなんですが、人間とAIも見たかった~~って思ってたので、作中ラストレースでAIるなきゅんとT-BITのレースっていう望んでいたものが見れて大興奮してました。好きだった人が遺したAIと共に戦う展開、王道だけどいい……

そして何よりそこからのどんでん返し大団円。正直結構時間空いてたから脱出ポット開けたら瀕死の希優ちゃんと最後の別れになるんじゃないかってヒヤヒヤしてたけどそんなことにはならずハッピーエンドで心の底からの安堵。うるふんがビットの見た目してる理由、カップリングだな~ぐらいしか思ってなかったのにまさかここで回収されるとは……らびっちゅとうるふんが実際に対面して、そして旅人と希優も本当に現実世界で再会するという流れ、美しすぎる。

希望をもう持ちたくないとまで言ってしまった希優に、らびっちゅの存在=ビットさんが再び希望を与えて、そして二人が再会する流れ……あまりにボーイ・ミーツ・ガールの物語の最後として完璧。感謝の気持ちに溢れながらスタッフロールに浸ることができました。

再会で終わるのは美しいので正解ではありますが、本編後のイチャイチャが見たかった気持ちも少しあるので今後の展開に期待しようかな……

 

今思い返してみると、あのままどこかに行ってしまった希優を思い続けるバッドエンドでも設定的には違和感ないけども、やっぱりこの物語はハッピーエンドで終わるべきだと思いますね。奇跡だけを信じて駆け抜けた二人に、最後に本当に奇跡のような、でも彼らの縁があったからこその出来事が起こって再会するというのは納得しかない。

Key作品って結構ファンタジーな解決方法が起こってハッピーエンド!みたいなのもあるんですが、ルナリアは全編完全SFなのですべての展開に設定上の理由があったし、ラストの再会もちゃんとらびっちゅとルナーワールドの存在があったからこそ起きる結果、というのが一貫してて良かったです。Key作品のファンタジー展開が苦手な人でも進められるお話だな、って思いましたしこの点に関しては歴代作品とは違って珍しいですね。どっちかっていうとKey作品というよりは自分の好きなシリーズだと科学ADVシリーズに近い感触でした。ゲーマー主人公だし太陽フレアの設定もあるしロボノを連想したなぁ……

ライトノベル作家を起用しSF全開な新しい雰囲気に仕上げつつも監修によってきっちりKeyらしさを保ったままハイクオリティな物語に仕上げるキネティックノベル、マンネリ化も防げるし本当にファンとして楽しい。LOOPERSも竜騎士らしさとKeyらしさを見事に融合した名作に仕上がってましたし、次回作も期待ですね。

 

結構シナリオの感想が長くなってしまったので次はキャラの感想を簡単ながら……

キャラクター

といっても主要キャラ4人しかいないんですけども。

短編だからキャラクター絞っていたのは良かったですね。ちゃんと4人ともきっちり掘り下げて魅力たっぷりだったし。LOOPERSはキャラクター多くてワチャワチャ感は演出できてたのであれはあれで正解だけど全員掘り下げてたわけではないからなぁ……

ミャウ

お嬢様口調、ライバル、ツンデレ、猫。

令和の笹瀬川佐々美か?リトバスって15年前のゲームなのにまたこういうキャラ出てくるとは思わなかったです。何度味わっても飽きない魅力がある。

もう終盤があまりにいい立ち回りしすぎて、単体で一番好きなキャラって言われたらミャウかもしれません。好きな男取られても、その人の最高のレースが好きだし、友達であるるなきゅんも大事な存在だから救出作品には自分の立場を活かして全面的に協力するなんて、いい女すぎる……

 

ミャウルートがあったらどうなるかな~って妄想してたんですが、ミャウはQ-BIT二人のレースが好きだから結局希優救出作戦の話はやりそう。恋愛相手が変わる以上色々変化はあるだろうけど大筋はそのままだろうなぁ……

まあルナリアは地球の狼と月の兎というラブストーリーをやる気しかないし主人公とヒロインのキャラメイクが二人がくっつくことを前提にしたガチガチな設定だったので、他ルートがないのは物語的には正解だとは思いますが。

ガヤ

Key特有の最高の親友ポジ、バ美肉美少年なんてKeyにしては新鮮な設定なのでどうなるかと思ったけどVRゲームオタクという側面があるからこその設定ですね。というかあまりにITスキルが高すぎるでしょ。シュタゲのダルかよ。

 

ただひたすらビットのために尽くしてくれて、優しくも特には厳しい言葉をかけてくれるし、良い人すぎる……ビットとガヤ、本編後もずっと友達なんだろうなぁ……

T-BIT

かっこよくてストイックで可愛げもあるいい主人公。このゲーム、所謂「攻略」するのってるなきゅん側でビットくんが落とされる側ですよね。

ゲームにただひたすら打ち込んでいたのに、終盤は全てを投げ捨ててまでるなきゅんを救おうとする変化、愛おしい……恋愛を知って価値観を一変させてしまう主人公好きだ。

 

ラストシーンで全世界にキスシーンが中継されたような気がするんですが彼の未来はこれからどうなるんでしょうか。学校で色々言われそうじゃない!?あんだけモテてるのに大丈夫!?というか両親とか何してるんだろ、結構謎多いよなぁ……気になる。

るなきゅん

超かわいい。この一言に尽きる。声も見た目も動きも性格も全部可愛い萌え萌えヒロインというイメージ。

人外に見せかけた人間なの、育った環境が特殊だから赤子のような存在だからだったんですね。無知系ヒロインかわいい……

 

しっっっっっっっっっっっっかしKey作品のヒロインはどいつもこいつももうこれで十分だよ、ありがとう。って諦める奴多すぎでは???????

まあそんなヒロインの諦観を打ち破る主人公の構図がたまらないんですが。美しい主人公ヒロインの関係性、Key作品に求めているモノ。それを数時間で濃厚に味わえるキネティックノベルは最高です。ずっと続いてほしい。

 

BGM

Key作品の例に漏れず、シーンを最大限に盛り上げる魅力的なBGMばかりでクリア後はひたすら付属したサントラを聞いていました。

 

BGMとして圧倒的に好きだったのは「SKYOUT FOREVER」ですね。

まさかの折戸伸治作曲のハードコア。折戸さんはテクノやトランスといったKey作品にはあまりないジャンルの方が好きとは聞いていたので、こういった過去作にはあまりないBGMが聞けて嬉しかったです。LUNARiAがVRゲーム作品だからこそできた曲調だなあ……

緊張感あるイントロから後半の盛り上がる曲調が作中レースの流れをそのまま表しているようで聞いてるだけで高揚感あふれるしQ-BITの二人のレース映像が脳内を駆け巡ります。本当に好きな曲だしクリア直後しばらくこればかり聞いてしまった。Key屈指の名BGMとして末永く評価されてほしい。

 

ボーカル入り3曲はどれも好きです。物語全体を歌ったLUNAR RISEも、ハッピーエンドを彩るSwing byも好き。

一番好きなのはプリズムのお姫様、数十回リピートしました。るなきゅんの心境を歌い上げた曲ですが、可愛くてキラキラした曲調でありながら歌詞にはかなり影があるギャップがたまらない。

プリズムのお姫様とルミナスの王子様、月の兎と地球の狼、Q-BIT。美しいワード群だ……

 

 

おわりに

というわけでルナリアの感想でした。かなり雑多に書き散らしましたが強く感じたことはだいたい文章にできたと思います。クリア直後だったらもっと細かいこと書けたんだろうな~とは思うのでそこは反省。これからプレイするKey作品は可能な限り早く書きたいですね。サマポケクリアしてからもう1年経ったのにまだ感想記事1/9しか書いてないってマジ?

前作LOOPERSが最高の作品だったので今作も期待してたんですが、蓋を開けてみればメインテーマの「奇跡」を描ききった非常に完成度の高いラブストーリーで大満足でした。もっともっと有名になってほしいし、前作でも同じこと思ったけどアニメ化決定してほしいですね。映画やTVアニメにするにはちょうど良い尺じゃないですか?

 

ヘブバン配信、終のステラ、かぎなど二期、プリマドールアニメ、サマポケアニメの企画進行、フルプライス完全新作発表……2020年からKeyのコンテンツ供給量って急増しましたが、特に今年はとんでもないことになっていますね、これからも眩しい未来をくれるKeyを追いかけ続けていこうと思います。

『LUNARiA -Virtualized Moonchild-』、素晴らしい作品でした。ありがとうございました!