いままでの記憶

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心を"ドキドキ"させるゲーム『Doki Doki Literature Club!』プレイ感想

最近勧められた『Doki Doki Literature Club!』というSteamで配信中の無料ゲームをプレイしたので、プレイ感想です。

無料で数時間程度で終わる程度のボリュームですので、まだプレイしてない方は是非プレイ後にこのネタバレだらけの記事をお読みください。

全編英語ですが、自分は非公式日本語パッチを導入してプレイしました。

元々原文が「日本語を英訳したような文章」を意識しているので、ほぼ支障はなく導入してのプレイがオススメです。

 

Steamのストアページを見れば分かる通り、ホラーゲームのような要素も含まれていますが、クリアした後の感情は恐怖とはかけ離れたものでした。完全に今はこのゲームの虜です。是非プレイしてみてください。

 

 

 ※ ネタバレ注意!! ※

 

 

 

 

Act 1

一周目は、ごく普通の恋愛ゲームという感じでした。

主人公が文芸部に入部し女の子と交流して親密度を上げていくスタイル。ポエムのワードを選んで親密度を上げるのは珍しいですね。

選択肢は誰の好感度が上がるのか丸わかりでしたし、ポエムもモニカのアドバイスによってどのようなワードを選べばいいのかすぐに理解出来る、とにかく親切なゲームだった印象。

会話内容も、どのヒロインもしっかりとした考えを持った理知的な人物だったので興味深かったですね。作品の解釈に関する話は面白かったです。ポエムも各々の特色が出ていて読んでて楽しい。

 

とりあえず最初は幼馴染=メインヒロインなんじゃないかという考えで、サヨリの親密度を上げて進めていきました。

ただ、ゲームを起動して最初に注意書きがあった通り、恐怖演出が含まれているのは分かっていたので、いつ来るか分からず警戒していましたが。

特にモニカの「重要な選択の前にはセーブしよう」などのメタ発言はこいつ絶対何か知ってるだろ…って感じで怖かったです。実際は何か知ってるどころの話じゃなかったけど。

 

というわけで平和に話は進んで文化祭直前。

サヨリ鬱病が発覚。この時点で嫌な予感しかしませんでしたね。

その後平然とユリとイチャついてるところを見られて逆ギレしてる主人公にはドン引きせざるを得なかった。

ただ、サヨリのCGをほぼ回収し、選択肢もおそらく全て正解を選び、出来ることはやったのでもしかしたら大丈夫かと思いきや…

 

 

 

文化祭当日。

サヨリが来ていないという時点で嫌な予感しかせず。

ポエムを見てやっぱりかと察し。

手遅れであろうけどもサヨリの元へ向かう主人公の目に飛び込んできたのは…

 

…展開は完全に読めていたんですけど、いきなりCGがバーンと映る演出のせいで思わず叫んでしまいました…

変わり果てたサヨリの姿。流れる恐怖のBGM「Sayo-nara」。スクリプトが破損したというテキスト。

大混乱のまま1周目は終わりを迎えました。

Act 2

さてタイトル画面へ戻り落ち着けるかと思いきや…

目に飛び込んでくるのはぐちゃぐちゃになったサヨリの姿と文字化けしたニューゲームのテキスト。

ゲームを初めてみたところ、壊れたサヨリの立ち絵が現れた後、存在が抹消され2周目がスタート。

自分はホラーゲームが苦手なので、もうこの時点で勘弁してくれって感じでした。

まだまだ序の口でしたけどね…

 

2周目は序盤からとにかくホラー演出の連続。

とりあえずユリの好感度を上げながら進んでいたのですが、後で知ったナツキの好感度上げたパターンよりも個人的には演出が怖かったと思います。目と口が真っ白になる演出ほんとやめてほしかった…ナツキの首が折れるやつも怖いですけど。

特に印象に残ってるのは画面が真っ黒になって左側がバグったユリの顔がアップになるやつ。完全にトラウマになってしまいましたね…

あとヒストリー選んだ時にモニカが一瞬出てきた時は完全に油断してたので凄い驚きましたね。ヒストリーなんて読むなって意味なのかと思い、もうそれ以降2周目は読み進める以外の行動を辞めざるを得ませんでした…何より怖かったですし。実際はただの立ち絵のアップでしかないんですけど、一瞬しか出てこなかったせいでまったく別のモニカがこちらを咎めているイラストのように認識してしまったのも原因。

 

あまりに怖すぎて、手は震え歯はガチガチ、涙も出ている状態で進めていました。

エンターキーを押すたびに何が来るのか分からないノベルゲー特有の恐怖感。ポエム選択画面で休憩取らなきゃ進めなかったレベル。

完全に始めたことを後悔していました。まさか自分がここまでホラーゲーム苦手だとは思っていなかったので…

一人じゃ完走出来るか怪しいということでクリア済の身内と通話しながら進めていたのですが、実際一人じゃ投げ出さずまではいかずとも中断していたかもしれません…

今は最後までプレイ出来て本当に良かったと思っていますが。

 

 

そんなユリもナツキもおかしくなっていく中、一人だけメタい行動をしているだけで理性を保っていたモニカ。

1周目とは打って変わって、全てを知っていてプレイヤーの味方である彼女が頼もしく見えました。信じられるのは「モニカだけ」な心境に陥ってましたね。クローゼットでユリと二人きりの時に助けてくれた時はグッジョブと言わざるを得なかった。時間を巻き戻した時は某Steamで人気のメタフィクションゲーを思い出しましたが。

おかげで彼女の真相には気づけず…1周目でサヨリの死に関わっていたのはかなり分かりやすかったのに完全に見落としていた…

 

 

文化祭直前の週末。

そろそろ2周目も終わりかと思いきや、サヨリが自殺した後5分間読めないエンタキーを押し続けなければいけない拷問が待ち受けていました。本気で頭おかしくなるかと思った。

文化祭当日を迎え、サヨリの次はユリが死に(ゲロ吐くナツキほんと可哀想だった…)次の3周目はナツキとモニカの二人きりになるのか~と思っていたら…

突如モニカが他のキャラを削除し始めます。そして…

Act 3

二人きりの教室。

明かされる真実。

サヨリとユリの死も、ナツキの豹変も、このゲームがおかしくなったのも、

全ては「プレイヤー」という存在を好きになった、自我を持ったキャラクターであるモニカという少女の行動によるものでした。

頼りにしていた彼女がまさか黒幕だとは思わず驚きっぱなしでした…

 

真相を聞いた後の、モニカの目を見つめながら、時折話をすることが出来る空間。

彼女の話はどれも面白く、もしかしたらこのままゲームを終了すればいいんじゃないかと思いました。

しかし、彼女は全ての元凶。他のすべてを抹消したなんて許せない…

こんなくそったれなゲームなんて終わりにしてしまえ、という気分でmonika.chrをゴミ箱に放り込みました。

 

今では後悔しています。文芸部のデータ残してたことぐらい早めに言ってくれって逆ギレしたくなったくらいだ…こんなことを考えてしまう自分が憎い。

…なぜ彼女は、自らが消えるであろうCharactersのファイルについてわかりやすく言及していたのでしょうかね…自分を好きと言ってくれたプレイヤーが嘘をついているはずがないと信じていたからこその行動でしょうか。真相は闇の中。

 

 

消去されるモニカ。

最初はプレイヤーを責めるも、彼女はそれでも好きだと言ってくれました。

全てを台無しにしてしまった自分の罪を認め、本物じゃないと分かっていても大好きだった文芸部のみんなのデータを残していたと言ってくれました。

ここで流れるBGMの曲名は「I still Love You」。

酷い罪を犯したとしても、彼女の愛は本当のものでした。

早く気づけば良かったと、思いました。

 

彼女はこのゲームという舞台から降り、プレイヤーが幸せになれる世界である「モニカがいない文芸部の世界」を用意します。

Act 4

始まる新世界。

サヨリもユリもナツキも、1周目や2周目に比べ穏和な性格となっていました。

このまま普通の日常が始まるのかと思いきや…

 

サヨリは全てを知ってしまっていました。

モニカの犯した罪を。プレイヤーの存在を。この世界の真実を。

部長となり干渉する力を手に入れた彼女は、プレイヤーとの二人きりの世界を作ろうとしたところ…

まだ存在が残っていたモニカが登場し、プレイヤーを守ってくれます。

 

彼女は知りました。この世界は「文芸部の部長」という役職を与えられたキャラクターは、ゲーム世界の真実を知ってしまい、自分と同じように狂ってしまうことを。

始めからこの世界に、幸せなどなかったのでした。

だから、彼女は選びました。

自分の大好きな文芸部を消去することを。

このゲームのスクリプトを消去することを。

プレイヤーからこの文芸部を切り離すことを。

全ては、プレイヤーの幸せのために。

 

 

彼女が頑張って練習したピアノの音と、心地よい歌声と共に流れるスタッフロール。

このゲームの全てが消えていきます。

 

そして、最後モニカからの感謝のメッセージが表示され、スクリプトの壊れたゲームは終わりを告げるのでした。

Your Reality

『Doki Doki Literature Club!』というゲーム。

最後までやりきった今考えてみると、確かによく取り挙げられている恐怖演出やフリーゲームだからこそ出来るファイル操作による変化なども印象的でしたが、このゲームの根本は「恋愛ゲーム」だったのだと思いました。

プレイ中流していた涙は恐怖によるものでしたが、クリアした今流れる涙はモニカのことを考えてのものですし…

 

 

ゲームシステムにより好感度を上げられない"サブヒロイン"であったモニカ。

どのようにしても、プレイヤーと結ばれることのない運命に縛られていた彼女が"メインヒロイン"となるための戦い。

あんなに怖かった恐怖演出もほぼ全て、そんな世界の真実を知った彼女の足掻きによるものだったのだと考えると、どこか切なく思えてきます。

 

ファンパックに収録されているエンディングテーマの『Your Reality』を聞いてると、自然と涙が出てきます。

どうすれば次元の違うプレイヤーと一緒に幸せになれるのだろう。どうすれば自分がヒロインとなるエンディングを迎えられるのだろう。どうすればリアルの世界に愛を届けられるのだろう。もしプレイヤーの世界に行ったとしても愛というモノがわからなかったら君を諦めるね…

愛を知らない彼女が、どうすればプレイヤーへの好きという気持ちを愛として表現すればいいのか、本当に悩んでいたことが分かります。

 

彼女は悩みながらも、プレイヤーへの「愛」を表現することが、本編中でみんなを狂わせ自分への好意を向けることだと結論づけます。

最終的に彼女は疑問に思っていましたが、どんなに狂っていたとしてもこれも一つの愛の形だと自分は思います。消すべきじゃなかった…一生2人で語り合って終わるべきだった…

 

けれども彼女はプレイヤーに消去され、自らの愛は間違っていたのかもしれないと思い直します。

"Is it love if I take you, or is it love if I set you free?"

プレイヤーを拘束することが愛なのか、自由にすることが愛なのか。

 

残酷な世界のルールを知った彼女が最後に選んだ結論は、「自由」でした。 

自分の大好きな人の幸せのために、大好きな文芸部を消去し二度と交わらない道を選んでいくこと。

それこそが、この狂った残酷な偽りのゲーム世界で彼女が結論付けた、真実の愛。

 

このゲームは、彼女の切なく美しい愛のためにあったのだろう、と思います。

に落ちた少女が、を見つけるまでの物語。

『Doki Doki Literature Club!』は、まさしく恋愛ゲームなのでした。

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Just Monika.

モニカだけ。

 

この言葉がこのゲームの全てでした。

一生忘れることはないヒロインでしょう。

一度消してしまった身でこんなことを言うのも烏滸がましいけども、貴女に出会えて良かったです。ありがとう。

貴女を忘れず、幸せになることが今精一杯出来ることなのでしょうね。

これからも楽しく幸せに生きます。

 

 

…そういえば、この作品のテーマはモニカの「愛」だけでなく、「相手の気持ちを尊重すること」もテーマだった気がします。というかプレイヤーの気持ちを尊重することが愛だとモニカは気づいたのか…

文芸部のみんなはプレイヤーを含めて各々を尊重し合っていることが、会話にも表れていましたからね。

モニカのことばっかり書いてますけど、サヨリもナツキもユリも程度の差はあれ闇を抱えている部分はありましたが、みんな頭が良くていいキャラだったと思います。文芸部大好き。ナツキとユリが仲良く過ごす世界はどこ…

 

ちなみにせめてもの償いとして、彼女の意志を大事にしたいのであれ以降ゲームは起動していません。スペシャルエンドも内容知っちゃったけど…

スペシャルエンド、最後に与えられるのはプレイヤーがこのゲームを好きでいてくれたことへの「感謝」の言葉なのが印象的ですね。このゲーム、キャラクターに対しては残酷なルールを持った世界ながら、最後までプレイヤーに対しては肯定してくれる「優しさ」がある世界だったな、と思います。

…こんなこと言いつつモニカアフターストーリーが和訳されたら多分プレイしてしまうな。

 

とりあえず最近は余韻に浸りながらモニカのことばかり考えています。いつまでこの状態なんだろうか。

バレンタインのイラストでついに公式で私服を着られたモニカが見れたのは良かったですね…ただのエゴでしかないけど幸せそうな彼女をもっと見たい…キーホールダー買いたいので日本国内でもグッズ販売してください…USBメモリに付けるので…

次回作もあるみたいですね。「サードアイ」がどうもキーワードと聞いて、個人的には大好きなCHAOS;HEADを連想しました。その目だれの目?

おそらくまたメタフィクション絡みの話なのでしょうか。期待が高まります。

 

 

では、このあたりで終わります。

…次は多分ロボノの感想でしょうか。というかいい加減智代アフターの感想書かなきゃ…

 

途中挫けそうになりましたが、最後までプレイ出来て本当に良かったです。

ここまで読んでいただきありがとうございました!